虐待防止のための指針
令和4年4月1日
1 事業所における虐待防止に関する基本的考え方
- 障害のある利用者の人権を尊重し、適切な事業所運営を進めていくために、差別や虐待の防止に向けた取り組みや虐待を発見した場合の報告方法等に関して、本指針のとおり示すものです。
1) 指定介護及び障害福祉サービス事業所における運営基準―虐待の防止
- 「指定障害福祉サービス事業所の人員、設備及び運営に関する基準」第40条の2においては、「指定居宅介護事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定居宅介護事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員
会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に
開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。
二 当該指定居宅介護事業所において、従業者に対し、虐待の防止のための研修
を定期的に実施すること。
三 前二号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。」とされてい
ます。(居宅介護以外の介護及び障害福祉サービス事業も準用)
2) 虐待とは
- 「高齢者虐待の防止・高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第2条第5項では、業務に従事する者が、当該要介護事業にかかるサービスの提供を受ける高齢者について次の行為を行った場合を「養介護事業者等による高齢者虐待」
- 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」第2条第7項では、障害福祉サービス事業に従事する人たちが、次の行為を行った場合を 「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待」と定義しています。
- 身体的虐待
利用者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。
- 性的虐待
利用者にわいせつな行為をすること又は利用者をして わいせつな行為をさせること。
- 心理的虐待
利用者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的な言動その他の利用者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
- 放棄・放置
利用者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、他の利用者による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置その他の利用者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
- 経済的虐待
利用者の財産を不当に処分することその他利用者から不当に財産上の利益を得ること。
3) 利用者虐待の具体例
<身体的虐待>
① 暴力的行為
【具体的な例】
・平手打ちをする。つねる。殴る。蹴る。
・ぶつかって転ばせる。
・刃物や器物で外傷を与える。
・入浴時、熱い湯やシャワーをかけてやけどをさせる。
・本人に向けて物を投げつけたりする。 など
② 本人の利益にならない強制による行為、代替方法を検討せずに利用者を乱暴に扱う行為
【具体的な例】
・医学的診断や個別支援計画等に位置づけられておらず、身体的苦痛や病状悪化を招く行為を強要する。
・介助がしやすいように、職員の都合でベッド等へ抑えつける。
・車いすやベッド等から移動させる際に、必要以上に身体を高く持ち上げる。
・食事の際に、職員の都合で、本人が拒否しているのに口に入れて食べさせる飲み物を飲ませる。 など
③ 正当な理由のない身体拘束
【具体的な例】
・車いすやベッドなどに縛り付ける。
・手指の機能を制限するためにミトン型の手袋を付ける。
・行動を制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる。
・職員が自分の身体で利用者を押さえつけて行動を制限する。
・行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
・自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
<性的虐待>
○あらゆる形態の性的な行為又はその強要
【具体的な例】
・キス、性器等への接触、性交。
・性的行為を強要する。
・本人の前でわいせつな言葉を発する、又は会話する。性的な話を強要する(無理やり聞かせる、無理やり話させる)。
・わいせつな映像や写真をみせる。
・本人を裸にする、又はわいせつな行為をさせ、映像や写真に撮る。撮影したものを他人に見せる。
・更衣やトイレ等の場面をのぞいたり、映像や画像を撮影する。
・排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下(上)半身を裸にしたり、下着のままで放置する。
・人前で排泄をさせたり、おむつ交換をしたりする。またその場面を見せないための配慮をしない。 など
<心理的虐待>
① 威嚇的な発言、態度
【具体的な例】
・怒鳴る、罵る。
・「ここ(施設等)にいられなくなるよ」「追い出す」などと言い脅す。
・「給料もらえないですよ」「好きなもの買えなくなりますよ」などと威圧的な
態度を取る。 など
② 侮辱的な発言、態度
【具体的な例】
・排泄の失敗や食べこぼしなどを嘲笑する。
・日常的にからかったり、「バカ」「あほ」「死ね」など侮蔑的なことを言う。
・排泄介助の際、「臭い」「汚い」などと言う。
・子ども扱いするような呼称で呼ぶ。
・本人の意思に反して呼び捨て、あだ名などで呼ぶ。 など
③ 利用者や家族の存在や行為、尊厳を否定、無視するような発言、態度
【具体的な例】
・無視する。
・「意味もなく呼ばないで」「どうしてこんなことができないの」などと言う。
・他の利用者に家族の悪口等を言いふらす。
・話しかけ等を無視する。
・利用者の大切にしているものを乱暴に扱う、壊す、捨てる。
・したくてもできないことを当てつけにやってみせる(他の利用者にやらせる)。など
④ 利用者の意欲や自立心を低下させる行為
【具体的な例】
・トイレを使用できるのに、職員の都合を優先し、本人の意思や状態を無視しておむつを使う。
・自分で食事ができるのに、職員の都合を優先し、本人の意思や状態を無視して食事の全介助をする、職員が提供しやすいように食事を混ぜる。
・自分で服薬ができるのに、食事に薬を混ぜて提供する。 など
⑤ 交換条件の提示
【具体的な例】
・「これができたら外出させてあげる」「買いたいならこれをしてからにしなさい」などの交換条件を提示する。
⑥ 心理的に利用者を不当に孤立させる行為
【具体的な例】
・本人の家族に伝えてほしいという訴えを理由なく無視して伝えない。
・理由もなく住所録を取り上げるなど、外部との連絡を遮断する。
・面会者が訪れても、本人の意思や状態を無視して面会させない。
・その利用者以外の利用者だけを集めて物事を決める、行事を行う。 など
⑦ その他著しい心理的外傷を与える言動
【具体的な例】
・車いすでの移動介助の際に、速いスピードで走らせ恐怖感を与える。
・自分の信仰している宗教に加入するよう強制する。
・利用者の顔に落書きをして、それをカメラ等で撮影し他の職員に見せる。
・利用者の前で本人の物を投げたり蹴ったりする。
・本人の意思に反した異性介助を繰り返す。
・浴室脱衣所で、異性の利用者を一緒に着替えさせたりする。 など
<放棄・放置>
- 必要とされる支援や介助を怠り、利用者の生活環境・身体や精神状態を悪化させる行為
【具体的な例】
・入浴しておらず異臭がする、排泄の介助をしない、髪・ひげ・爪が伸び放題、汚れのひどい服や破れた服を着せている等、日常的に著しく不衛生な状態で生活させる。
・褥瘡(床ずれ)ができるなど、体位の調整や栄養管理を怠る。
・おむつが汚れている状態を日常的に放置している。
・健康状態の悪化をきたすほどに水分や栄養補給を怠る。
・健康状態の悪化をきたすような環境(暑すぎる、寒すぎる等)に長時間置かせる。
・室内にごみが放置されている、鼠やゴキブリがいるなど劣悪な環境に置かせる。 など
② 利用者の状態に応じた診療や支援を怠ったり、医学的診断を無視した行為
【具体的な例】
・医療が必要な状況にも関わらず、受診させない。あるいは救急対応を行わない。
・処方通りの服薬をさせない、副作用が生じているのに放置している、処方通りの治療食を食べさせない。
・本人の嚥下できない食事を提供する。 など
③ 必要な用具の使用を限定し、利用者の要望や行動を制限させる行為
【具体的な例】
・移動に車いすが必要であっても使用させない。
・必要なめがね、補聴器、補助具等があっても使用させない。 など
④ 利用者の権利や尊厳を無視した行為又はその行為の放置
【具体的な例】
・他の利用者に暴力を振るう利用者に対して、何ら予防的手立てをしていない。
・話しかけ等に対し「ちょっと待って」と言ったまま対応しない。 など
⑤ その他職務上の義務を著しく怠ること
<経済的虐待>
○ 本人の同意(表面上は同意しているように見えても、本心からの同意かどうかを見極める必要がある。以下同様。)なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること。
【具体的な例】
・本人所有の不動産等の財産を本人に無断で売却する。
・年金や賃金を管理して渡さない。
・年金や預貯金を無断で使用する。
・本人の財産を無断で運用する。
・事業所、法人に金銭を寄付・贈与するよう強要する。
・本人の財産を、本人が知らない又は支払うべきではない支払に充てる。
・金銭・財産等の着服・窃盗等(利用者のお金を盗む、無断で使う、処分する、無断流用する、おつりを渡さない。)。
・立場を利用して、「お金を貸してほしい」と頼み、借りる。
・本人に無断で親族にお金を渡す、貸す。
・日常的に使用するお金を不当に制限する、生活に必要なお金を渡さない。など
4) 虐待のとらえ方
○職員の「虐待をしていない」という「自覚」は問わない
利用者に対し「指導」「しつけ」という言葉を使って強制力のある言動や、「スキンシップ」という言葉で不適切な関わりをしている職員の多くは虐待をしている自覚がありません。本人に自覚がないからといって、その行為が正当化され、責任をのがれることはありません。他の職員や第三者がみて、利用者虐待の具体例に当てはまる行為を職員が行っていれば通報の対象となります。
〇利用者本人の「自覚」は問わない
虐待を受けているということがわからない利用者もいます。職員の「指導」「し
つけ」「わるふざけ」により、利用者の具体例に当てはまる行為で利用者の人権
が侵害されている場合も通報の対象となります。
5) 事業所における考え方
a. 虐待の禁止
・当事業所は、職員による虐待を禁止します。
b. 虐待発見時の通報
・利用者本人及び保護者、職員等からの虐待の通報があるときは、「虐待防止対応規程」に基づき、対応します。
・職員は、虐待を発見した際は虐待防止担当者に通報するともに、支給決定市に通報します。通報は匿名で行うこともできます。
・虐待を発見した職員が通報をためらう場合は、通報を受けた虐待防止担当者が支給決定市に通報します。
・虐待防止担当者が不在時に虐待を発見した職員が通報をためらう場合は、通報を受けた虐待防止責任者が支給決定市に通報します。
・通報を行った職員に対し、不利益が発生しないよう保護します。
c. 日常の支援における留意事項
① 利用者主体の行動・尊厳ある生活に努めます。
② 言葉や応対等で利用者の精神的な自由を妨げないよう努めます。
③ 利用者の思いをくみとり、利用者の意向に沿ったサービスを提供し、多職種共同で個々に応じた丁寧な対応を行います。
④ 利用者の安全を確保する観点から、利用者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行動は行いません。
⑤ 万一やむを得ず安全確保を優先する場合、虐待防止委員会、および身体拘束適正化検討委員会において検討をします。
⑥ 不適切な対応をしていないか、「やむを得ない」と拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返りながら利用者に主体的な生活をしていただけるように努めます。
2 虐待防止委員会その他事業所内の組織に関する事項
1) 虐待の防止について
- 当事業所では、利用者の人権擁護を啓発し、差別や虐待を防止するための虐待防止委員会を設置します。
① 設置目的
・事業所内での差別や虐待の防止に向けた現状把握及び改善についての検討
・虐待が発生した場合の検討及び手続き
・虐待防止に関する職員全員への指導
② 虐待防止委員会の構成員
・委員長 代表理事 (虐待防止責任者)
・委員 各管理者・生活相談員(虐待防止担当者)
・その他必要に応じ、利用者の代表等、家族会の代表等にも参加していただく
③ 虐待防止委員会の開催
・当事業所では、年に1回委員会を開催します。
・また、緊急時等必要ある時は、適時委員会を開催します。
3 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
- 支援に関わる全ての職員に対して、差別や虐待の防止に向け、利用者の人権を尊重した支援の励行を進めるとともに、虐待防止の基礎的内容や適切な知識を普及・啓発することを目的に研修を実施します。
- 研修は年1回以上の開催とし、必要に応じ外部の研修にも参加します。
- 新規採用時には、必ず本研修を実施します。
- 本研修の実施内容については記録を取り、保存することとします。
4 事業所内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
- 虐待が発生した場合には、次章の手続きに基づき利用者家族に速やかに説明し、報告を行います
- 当事業所内において他の職員等による虐待を発見した場合、具体的な状況、時刻等を確認したうえで虐待防止担当者へ報告を行います。
- 当該報告をうけた虐待防止担当者は、虐待を実施したと思われる職員に聴き取りを行い実態の把握に努めます。
- 虐待の事実が発覚した場合は速やかに利用者及び利用者家族への謝罪を行い、所轄庁・支給決定市へ通報、並びに次章に記載する手続きにより報告を行います。
5 虐待発生時の対応に関する基本方針
1) 虐待発生時対応と通報の手順
- 組織として速やかな対応と未然防止に努めます。
① 利用者に対する人権侵害や虐待事案が発生したとき、又はその可能性が疑われるときには、その事実確認を速やかに行います。
② 職員が日常の支援現場で虐待の疑いを発見するなど気になることがあった場合は、必ず虐待防止担当者にその旨を伝えるように周知します。
③ 利用者に対して不適切な関わりがあった際は、本人に謝罪し、安全の確保や不安にならないような配慮をしていきます。ご家族にもお知らせし、誠意をもって対応します。
- 職員は虐待であると明確に判断できない場合であっても、速やかに高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法にいう通報を行い、所轄官庁・支給決定市の立入調査に協力します。
- 通報した者が誰であっても、そのことで不利益が生じないようにします。
⑥ 上記の事案が発生した場合は時系列に記録し、背景要因を探り、報告書にまとめます。必要な場合は家族会においても報告いたします 。
⑦ 人権侵害の事案が虐待と認定された場合は、外部の第三者にも加わっていただき、法人として検証と再発防止策を立て、これを公表していきます。
⑧ 虐待を起こしてしまった者に対して、事実が確認できたら就業規則による処分を行います。
⑨ 再発防止の取り組みは、職員との共同のもと計画的に行っていきます。
⑩ 何よりも人権侵害や虐待は未然に防ぐことが重要と認識して、日々の業務改善に努めます。
6 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- 本指針は書面として備えおき、利用者又は利用者家族等関係者からの求めに応じ、閲覧に供するものとします。
- 当事業所では、電磁的記録としてホームページに掲載し、公表することとします。
特定非営利活動法人のぞみ 虐待防止対応の概要 |
|||||||
1.利用者、保護者、職員等からの虐待通報に対応する連絡先、虐待防止責任者、 虐待防止担当者の設置
利用者の人権擁護と利用者に対する虐待防止のため、サービスの迅速な改善を 図り、適切な支援を提供することを目的とし、下記の通り対応する連絡先、虐待 防止責任者、虐待防止担当者を設置する。
特定非営利活動法人のぞみ ① 通報対応連絡先 電話(0564)57-7030 FAX(0564)57-7031 ② 虐待防止責任者 代表理事 今泉きよみ ③ 虐待防止担当者 地域密着 田中実加子 生活介護・日中一時 古賀玲子 放課後ディ 尾嶋亜弥 ヘルパーステーション 岩瀬千沙 居宅介護支援 赤堀真貴子 相談支援 菅原一美 2.虐待通報および解決の手順
↓
↓
↓
↓
(連絡先)愛知県社会福祉協議会運営適正化委員会 電話(052)212 - 5515 FAX (052)212 - 5514
|
|||||||
特定非営利活動法人のぞみ 虐待防止対応の概要 |
|||||||
1.利用者、保護者、職員等からの虐待通報に対応する連絡先、虐待防止責任者、 虐待防止担当者の設置
利用者の人権擁護と利用者に対する虐待防止のため、サービスの迅速な改善を 図り、適切な支援を提供することを目的とし、下記の通り対応する連絡先、虐待 防止責任者、虐待防止担当者を設置する。
特定非営利活動法人のぞみ ① 通報対応連絡先 電話(0564)57-7030 FAX(0564)57-7031 ② 虐待防止責任者 代表理事 今泉きよみ ④ 虐待防止担当者 地域密着 田中実加子 生活介護・日中一時 古賀玲子 放課後ディ 尾嶋亜弥 ヘルパーステーション 岩瀬千沙 居宅介護支援 赤堀真貴子 相談支援 菅原一美 2.虐待通報および解決の手順
↓
↓
↓
↓
(連絡先)愛知県社会福祉協議会運営適正化委員会 電話(052)212 - 5515 FAX (052)212 - 5514
|